DAYS NYのクリスマスツリー事情

2020.12.25


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ニューヨークは11月の第四木曜日にあるサンクスギビング(感謝祭)を終えると、街と人々は一気にホリデームードになり、クリスマスを祝う人たちは準備をはじめます。僕もNYに来るまでは漠然とその違いを思い浮かべるくらいだったのですが、実際にここでクリスマスを過ごしてみて、全く違うと感じたのがクリスマスツリーに対する文化でした。

クリスマスツリーは、日本でいうところのお正月のしめ縄や門松のような存在に近いなと感じているのですが、最近では自分たちで買う機会は少なくなってきていると思います。一方、ツリーは自分たちの手でクリスマスのデコレーションするからでしょうか、多くの世代の人たちが自分たちで準備をして楽しんでいる印象があります。National Christmas Tree Associationの調査によると、毎年全米で約2,500〜3,000万本も販売されているそうです。すごい数ですよね。12月上旬、ニューヨーカーたちが一斉にクリスマスツリーを買いに走る様子が近所でも見られました。

この時期、園芸店はもちろんのこと、ホールフーズ・マーケットなどの大型スーパーマーケットから小さなグロッサリーストアまで、至るところでクリスマスツリーが売られています。街中にも12月の3週間程度限定でクリスマスツリーのショップがあちこちに設置されます。歩道の両脇にところ狭しとツリーが並べられているので、この前を通ると木々の深い香りがして、クリスマスシーズンに突入したことを実感します。このツリー販売は、サンクスギビング明けの週末からはじまるのですが、人気のお店では長蛇の列ができたりします。

クリスマスツリーの代表格はモミの木や松の木で、その中にもさらにたくさんの種類があるそうです。産地も様々ですし、葉の色や全体の形はもちろん、香りまでが全然違っているのです。おどろいたのがその香りで、昨年お世話になった販売員の方が葉を指で少し揉んで香りを出しながら「これは柑橘系、こっちは金木犀のような匂いがするよ」と教えてくれました。水の吸い上げを良くする為に根元の幹を少し切るのですが、その切り株も同じように良い匂いがします。この切り株はヒーターの近くに置いておくとアロマのようにリラックスできるよ、とも教えてくれました。

さて、クリスマスツリーを選ぶにあたって、その他にもチェックした項目がいくつかあります。

■サイズ
まずはこれを決めなくてはなりません。昨年ははじめての本物のツリーデビューだったので小さめを選んだのですが、今年は8フィート(約240cm)の大きめのものにしました。個人的にはちょっと大き過ぎたかなと思ったのですが、ニューヨーカーの友人いわく、天井ぎりぎりが適正サイズだからもっと大きいツリーを選んでもよかったねと言われました。(笑)

■形・シルエット
ふわりと丸みのある形に広がっていたり、シュッとスリムな三角形だったり個性があるので、好みの形を探します。

■色
よく見ると意外と色にも個体差があります。濃い緑だったり、少し白っぽかったり。部屋のインテリアや壁の色との相性を見て選びました。

■枝の強さ
重さのあるオーナメントをたくさん飾りたい場合は、枝が強い方がしならずに形をキープできます。リボンやライトなど軽い素材で飾り付ける場合は、柔らかい枝のほうが枝を動かしやすく飾り付けしやすいようです。

■幹の太さ
クリスマスツリーを固定する為のネジがついている専用の鉢があります。この鉢に固定するのがなかなか難しく、ちょうどよさそうな太さかどうかもチェックします。

■香り
香りに一番のポイントをおいています。今年は柑橘系のしっかりと匂いがするツリーを選びました。大きめのツリーにしたので、リビングにモミの木の香りが広がってまるで森の中にいるみたいでとても癒されました。


サンクスギビング明けの週末、早朝からツリーを探している人たち。 手前の赤い機械は、ツリーにネットをかぶせるためのもの。

サンクスギビング明けの週末、早朝からツリーを探している人たち。
手前の赤い機械は、ツリーにネットをかぶせるためのもの。

販売されている木々はネットに入れられていて、実際に購入する前は店員さんにお願いしてネットを外してもらい、自分たちの納得するツリーを探します。気にいったものが出てくるまで何本でも快くネットを解いて見せてくれます。昨年は遠慮してしまい、2本だけ開けてもらってすぐに決めてしまったのですが、今年は5〜6本くらいを開けてもらい、最後は香りが気に入った木を選びました。

今年は自分の身長よりもはるかに大きいものにしたので、運ぶのに一苦労しました。子供のストローラーに乗せようと思っていましたが、あまりにも大きすぎて断念。肩に担いでひとり神輿スタイルで休憩を挟みながら運びきりました。翌日は筋肉痛で大変でしたが、家族が喜んでくれたので頑張ってよかったです。

街中の人たちを見ていると、一人で少しよろけながら運んでいるひと、二人で木々の前後で抱えたり、台車を持ってきていたり、車の上に乗せている家族もいたので来年はもう少し対策をして買いに行こうと決めました。

クリスマスツリーを買ったら、あとは楽しい飾り付けが待っています。僕はこれまでクリスマスツリーを自分で選んだこともなければ飾り付けもしたことがなかったので、はじめて気がついたのですが、想像以上にたくさんのオーナメントが必要なんですね。そして、このオーナメントが意外と高い!こだわって色々探したのですが、思いのほか高くついてしまってたくさんは買えませんでした。昨年はたまたま通りかかったブルックリンのアンティークショップで、運良くひとつ$1の可愛いオーナメントを見つけることができていくつか購入できたのですが、それでもツリーいっぱいに飾り付けようと思うと全く足りなくて少し寂しい感じになってしまいました。

そんなことをアメリカ人の友人に話したところ「オーナメントは毎年少しずつ買い足していくものなのよ。そうするとそれが自分たちファミリーの歴史になるでしょ」と教えてくれました。
確かに、オーナメントには写真が入れられるタイプのものもあるし、今年はマスクをしているサンタクロースのオーナメントもありました。買った年の思い出の写真を入れたり、その一年の象徴的なことがデザインされているオーナメントを買い足すことで思い出が重なっていく感じがとても素敵で、ぜひ取り入れていきたいと思いました。クリスマスツリーの飾り付けも、その家族の伝統やテーマが受け継がれているのかもしれません。

こんな素敵なハンドメイドのオーナメントもあるみたいです。こういった手作りのオーナメントも温かみがあって素敵ですよね。

Information

MdNデザイナーズファイル2021の装丁デザインをしました。

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仕 様 :A4判/272P
ISBN :978-4-295-20099-4
価 格 :本体 3800円(税別)
出版社 :エムディエヌコーポレーション
販 売 :Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

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