日本でもニュースで取り上げられている通り、18歳以上のニューヨーク州民の70%がワクチンの一回目の接種を受けたということで様々な規制が解除され、いよいよ経済活動が本格的に戻ろうとしています。昨夜は、ワクチン接種のマイルストーン達成を祝う花火がニューヨーク市数カ所で上がったりと、街が一気に動き出しているのを実感しています。
ワクチン接種が終わった人は、今や外ではマスクもソーシャルディスタンスも必要なくなりました。ですが、久しぶりにマスクなしで外に出た時に自分でも驚く程、違和感や抵抗感がありました。なんだか服を着ずに外に出てしまったような気分。笑
振り返ってみれば、マスクやソーシャルディスタンスが必要な非日常が、いつの間にか僕たちの日常になっていたのだなと実感した瞬間でした。
さて、今日は、先週に発表があった第100回ADC(アートディレクターズクラブ)で以前こちらの記事でも紹介した『LIPSTICKS』がブロンズを受賞したことを改めてご報告したいと思います。アートディレクターにとって、世界最高峰の舞台で今年も受賞することができたのはとても嬉しいことである共に、改めて身の引き締まる思いです。
今年はちょうど100回目ということもあって、100年もの歴史を祝うべく盛大なアワードセレモニーがあったはずなのにオンラインという形になって正直なところ残念です。
実はこの授賞式、日本とアメリカの広告賞で雰囲気が全く違うので、以前から興味深いなと思っていました。そこで、この記事ではアメリカの広告賞の授賞式についてシェアしたいと思います。
今回ご紹介するのは、世界三大広告賞『ONESHOW』の僕が参加した2019年の授賞式の様子です。ちなみに、『ONESHOW』はADCと同じ母体であるニューヨークのONECLUBが主催している広告賞です。
2019年の授賞式は2日間に渡りミッドタウンとウォール街にある会場で開催されました。ご覧の通り、重厚な雰囲気のテーブルセッティングから照明、空間演出までしっかりと準備されています。
授賞式とは言え、受賞者でさえ参加するには400から500ドルかかります。その分しっかりとした食事やお酒が準備されていて、一つのエンターテイメントとして完成された形でサービスされる印象です。毎年、演出は変わりますが、オープニングにはエンターテイナーが来て、会場を盛り上げるところからはじまります。この動画は2017年の授賞式のものですが、ラッパーが登場しました。日本では広告やデザインの授賞式でラッパーが出てくるというのはなかなかないですよね。
メインである授賞発表では、大画面に作品の画像や映像が流れた後に登壇します。スピーチの時間もあり、思い思いのコメントを見るのも楽しみの一つです。制作チーム全員なんじゃなかと思うくらい大人数で賑やかに登壇する人たちもいれば、恥ずかしがり屋でさらっと終える人もいて、本当に様々でした。
授賞式の後には、カジノゲームをプレイしたりダンスフロアで踊ったり、最高に楽しいエンターテイメントが用意されていました。実際にお金をかける分けではありませんが、メダルが配布されてプロのディーラーがプレイしてくれるので、本格的な雰囲気が味わうことができました。
会場の雰囲気作りから、演出まで、人を楽しませるのがうまいアメリカならではの体験だと思いました。「海外賞へ応募する」という行為自体が一つのプロジェクトになるくらい大変な思いもする海外賞への挑戦ですが、それでも授賞式ならではの特別感や緊張感も味わえて、またこの場所に戻って来たいというのが次のモチベーションになったりします。
また、それ以上に貴重だと感じるのが、実際にクリエイティブをしている人達と交流を持つことができることです。授賞式のこの場は社交場的な意味合いもあるので、実際に話をしたり、こういう人達がこういう仕事をしているのだと肌で感じることで、新たなやる気やもっと精進せねばという思いが涌き上がってきます。
オンライン授賞式の良い面ももちろんありますが、以前のように会場で色々な人と肩を並べて喜び合い、語り合える日が待ち遠しいです。