Branding カフェのビジュアルと欧文タイポグラフィ

2021.3.17

今日は僕が数年前にデザインを担当したカフェのポスターデザインについて、その制作アプローチと欧文タイポグラフィへの思いについてシェアしたいと思います。


Food+Typography01.jpg


Ice Creamという文字が隠れています

Ice Creamという文字が隠れています

僕は気づけば日常生活でいつもデザインのことを考えてしまう癖がいつの間にかできてしまっていて、これは仕事から頭が離れないということではなく、ついデザイン的または視覚的に物事や事象を捉えてしまうというのでしょうか。例えば、以前はそんなこと考えもつかなかったのですが、ある時から、毎日の生活の中で出会う、うねうねしたもの、トロトロしたもの、くねくねしたものとか、言葉では表現がやや難しいのですが、そういったものの形態に興味が湧くようになり、いつしかその中にタイポグラフィ(文字)が見い出せるのではないかと考えるようになっていきました。そうして、そのうねうねしたものを観察をしているうちにこのビジュアルアイデアに行き着きました。


Food+Typography04.jpg


こちらはHot Dog

こちらはHot Dog

このカフェでは、ソフトクリームやホットドッグなどの新メニューの発売告知のために店内にポスターを掲出していて、今回クライアントからは、ただ告知するだけではなく店内にそのまま飾っておけるようなアート性が高いものを作ってほしいと依頼がありました。

そこで僕は、ある一定期間飾っていて単なる告知に終わるのではなく、店内のムードまでもよくするようなものがいいのではないかと考えました。そして、一般的な広告の佇まいがしない、一見はフードイラストレーションにしか見えないポスターを作り、そのイラストレーションのシズルの中にタイポグラフィを混ぜて新メニューを訴求しました。イラストレーションとタイポグラフィを一体に見せることで、逆につい読んでしまうようなデザインを目指したのです。


Food+Typography03.jpg


難度高めでしょうか。Morning Coffee

難度高めでしょうか。Morning Coffee


Food+Typography02.jpg


Beer garden

Beer garden

そして、もう一つ別の視点から。過去に海外のクリエイティブ・ディレクターと仕事をしている際に私がラフデザインを見せた時、『フォントのチョイスが違う、英語ネイティブが選ぶフォントの感覚とはかけ離れている』と厳しい指摘を受けたことがあり、ものすごく悔しい思いをしたことがありました。

たとえば海外に行くと、日本食レストランなんだけど、絶対に日本人が選ばないようなセンスのフォントが看板に使われているレストランを見かけたことはありませんか?英語ネイティブから見た時、同じように感じられていたのではと、デザイナーとして大変な危機感を抱きました。そこで、それ以降は欧文の歴史や成り立ち、筆記体の書き方、文字の形などを徹底的に勉強していきました。

その流れで、もし欧文タイポグラフィの作品で海外のデザイン賞が取れると、海外の審査員に認められているということなので、感覚的なズレは解消されているのではないかと考えました。何度かトライするうちにこのポスターで、ニューヨークのONESHOWで金賞を取ることができました。

このことがきっかけでますます欧文フォントへの興味が増していき、今では書体デザイナーとまでは全くいきませんが、欧文の自主制作フォントもデザインするよにまでなりました。この話はかなり専門的でニッチですが 笑、またどこかでシェアしたいと思います。

Illustrator:Kaori Doi

映像もぜひご覧ください。

Information

MdNデザイナーズファイル2021の装丁デザインをしました。

発売日 :2021-02-24
仕 様 :A4判/272P
ISBN :978-4-295-20099-4
価 格 :本体 3800円(税別)
出版社 :エムディエヌコーポレーション
販 売 :Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

詳細はMdN BOOKSをご覧ください。