今週は、前回に引き続きブランディングについてもう一つ記事を書いてみようと思います。今日はアメリカ全土はもちろん、世界中でビジネス展開しているバーガーキングのリブランディングについてです。ニューヨークやロンドン、上海を拠点にしているエージェンシーJKR（Jones Knowles Ritchie）がリブランディングを行い、最近新しいデザインが発表されました。

ナチュラル志向の食材を使い、ファストフード業界最高水準の食品品質を実現すること。環境負荷の低減、持続可能な開発、そしてモバイルでもインパーソンでも最高の体験を実現するというミッションを掲げ、それを実現するため消費者が安心感を抱けるブランドイメージを作るべく、アイデンティティを20年ぶりに改めたようです。

このリブランディングで興味深いと感じたのは、60年代のロゴに再注目してそれをリデザインしているところです。また、むっちりとした形のオリジナルフォントが鮮やかなカラーパレットとともに導入され、ふっくら新鮮なバーガーを想像させることに貢献しています。また、このフォントはフラットで変形がしやすくアニメーションにも適した設計になっています。ソーシャル上でコミュニケーションする際のデジタルとの親和性を考えてのことだろうと想像ができます。

デジタルフレンドリーという意味では、2015年くらいからフラットデザインというデザインの潮流が生まれ、様々なブランドやサービス、アプリなどのインターフェースやロゴのデザインがアップデートされました。

このデザインの潮流はさらに細かくセグメントもできますが、簡単にいうと影やツヤなど立体的な表現がなくなり、よりフラットでより明るくカラフルにかつシンプルにデザインされているのが特徴です。少しかわいらしい感じがするのも一つの特徴だと思います。これは世界的なトレンドで、インスタグラムやグーグルのロゴも数年前から今回のバーガーキングのロゴの変化に見られるようなアップデートがなされています。ロゴをみるだけでも時代の空気がつかめておもしろいですよね。

僕がブランディングを担当する時に大切にしている要素として“インナーブランディング”というものがあります。通常ブランディングというと、コンシューマーに対するエクスターナルなブランドの見え方のことを指しますが、インナーブランディングとは、対外的な見え方云々ではなくそこで働く社員に対するブランディング、つまり、社員のモチベーションを上げるための施策という意味です。

たとえば、僕が企業のブランディングを依頼された場合は、名刺・社員証・オフィスのIDカード・IDカードを入れるケースと紐・封筒・その他グッズ（Tシャツやキャンバストート）までデザインして提案をしています。各種アイテムをきちんとデザインすることで、ブランドイメージをより身近に感じやすくなり、社員の企業やブランドへのロイヤリティは高まります。ここで働いている自分自身に誇りを持つことができ、それに伴ってモチベーションも上がっていくでしょう。こういった意識の変化は、業績に少なからず影響を与えるのは言うまでもありません。

たかが名刺一枚、封筒一枚、されど、名刺も封筒も毎日のように触れるアイテムであり、会社やその人自身の顔のような存在。それらがブランドイメージに沿ってデザインされたものであれば、想像以上に大きな存在意義を持ちます。

今回のバーガーキングのリブランディングでは、ユニフォームやエプロンなどのデザインがインナーブランディングのひとつと捉えることができます。下の写真を見てみてください。新しいデザインのユニフォームをきた店員さんたちが楽しそうに笑っていてとても魅力的ですよね。アースカラーのベースにロゴやイラストレーションが映えていて、ポップで明るい雰囲気です。

リブランディングの場合、店舗数が多いと一度に変更するのは難しく、場合によっては全店舗が完了まで数年かかることもあります。僕も早速、近所のバーガーキングに行ってみたのですが、まだ以前のデザインのままでした。新しいデザインに変わるのが楽しみです。